2012年08月29日

アマチュアミュージカルのリミット?

近年、社会人がやっているアマチュアミュージカルの公演を見に行く機会が何度かあった。
学生のころ、ミュージカルサークルのお手伝いなどをした名残りから、今も頑張っている友人がいたりして、公演があると誘ってくださる感じで。

オレの場合、人前でパフォーマンスする場合はもっぱらバンドでライブという形だけど、劇団で演技を披露する人もいれば、お笑いの道に進んで漫才でライブやったり、パフォーマンスは色々な形があるので、ミュージカルももちろんその一つとして興味深い。

でも、

アマチュアミュージカルというものは、表現の幅の限界を感じてしまう事が多い。

どのように限界を感じるかと言うと、こう言ってしまうと失礼だけど、感動するレベルの物がなかなか見られない。「スゲェ!ヤベェ!」とならず、どうしても「すごく頑張ってるね!」的な感想になってしまう。

これは何故か。

多分、ミュージカルというものはトライアスロンみたいに厳しいジャンルだからだと思うんだよね。演技ダンスという、3つのエレメントが完璧に出来てないとサマにならない。どれか一つが欠けただけでも残念な結果になりかねない。そしてアマチュア団体だと団員全員がすべてのスキルを持ち合わせているケースがマレなのではないかと。

オレなんかライブやるときは乱暴にまとめれば演奏するだけであり、ダンスしなくてもいいし演技もない(ステージに上がっている以上、意識を客に向けて演奏するようにはしているけど、演技ってほどのもんじゃねぇしw)。そう見るとミュージカルって求められるスキルレベルが半端ないと思う。アマチュアであれ、ステージに立って演技やら歌やらダンスやら披露できる人は素直に凄いと思う。

とまぁ、ミュージカルはただでも基本性能の高さが求められるアートだと思う。
それに加えて、仮に役者が演技と歌とダンスが完璧にこなせてたとしても、バックバンドがシッカリ演奏出来てないと話にならないという更なるハードルがある(^^;)。そしてそして更に、音のバランスを取って客席にまとまった音を届けるだけの音響技術や機材環境/ノウハウも必要になる。ハードルたけぇw

個人的に音楽に一番携わってきているというバイアスもあるかもしれないが、自分が見てきたアマチュアミュージカルは、大抵音楽と音響で一番つまづいてしまっている気がしてならない。

本番で歌を間違えるとかバックバンドが演奏ミスるという事は流石に少ないように思えるが、音量のバランスが取れていないことが見てきたステージでは強く目立ってた。

あと、演奏面では楽曲のジャンルはポップ寄りな事が多く、そうなるとドラム、ベース、ギター、鍵盤はほぼ必須。アマチュアとは言え、ミュージカル団体さんは生演奏にこだわっていて(それは熱くていいのだがw)、本番もバンドアンサンブルがステージのバックかサイドで演奏してる。

でも、これらのパートから成るバンドが普通に演奏した場合、かなりの音量になってしまう。ドラムだけ取っても、きちんと楽器を生かした鳴らし方をしたらかなりの音量になるわけじゃん?金管楽器なども、本来の味を出す演奏をしたらどうしても音量が大きく出てしまう。

アマチュアミュージカルのステージでの問題は、本来の音量で演奏した場合、おそらくバンドの音に役者の声が殺されてしまうことだと思う。ワイヤレスで役者の額や耳あたりに小型マイクを装着して対応しているケースも見かけるけど、音楽が鳴っていない時の音量とのバランスを考えてか、あまり強い音量増加には貢献してない気がする。

ワイヤレスマイクが高価なことや混線を恐れてか、役者全員にはマイクを当ててないもの問題かもね。マイキングされてる役者とそうでない役者の落差が目立っちゃう。生声の集音は天井からコンデンサー当ててたり、舞台上にバウンダリーを置いているのをよく見るけど、これらのマイクではバンド演奏に対する歌の音量アップには向かなそうだしね。

役者の声を大きくできないとなると、バンドの音量を下げるくらいしか対応策がなくなるw。シンセはメインボリュームを下げればそれで済むけど、ドラムとかは音量を下げる=奏法を変えることになるワケで、著しく楽器の聞こえ方に影響が出る。そぉ~っとペコって叩いてるスネアとかシンバルとか、楽器が全然鳴ってないから聞いててやはりサムイ。金管楽器も音量を抑えて演奏したときの音色の違いは顕著だよね。ギターもアンプの音量を絞っては微妙な響きになってしまう。

じゃあどうすればいいのか。

一つは楽曲を完璧にアンプラグドで小編成向きにしてしまうのが手かもね。ドラム使わない。打楽器使うならカホンとかその他小型パーカッション程度に。アレンジからしてその編成用に作るのが大事だろうね。そうすれば本来の楽器の味を出しつつ音量が抑えられる。
問題としてはそうすると多分ごまかしが効かない分ボロが出やすくなるのと、いわゆる壮大な雰囲気が出しにくくなるなどの表現の幅の制約が発生してくるかな?

もう一つの方法は楽曲を全部事前に打ち込むかレコーディングしてしまうという手かね。バランスを完璧にミックスできるし、もちろん各楽器も本来の演奏で生かせる。本番では音量を絞って役者さんの声量に合わせて再生すれば気持ち良いバランスで客席に音楽が届く。音響チームには楽曲再生のオペレーターが必要になるw。

前者はバンドの腕が試されるのと、小編成の雰囲気でしか勝負ができなくなるのがネックで、後者は生演奏自体を切り捨てるという決断が必要…。難しいものだよね。技術と機材環境の制約と、表現したい雰囲気とのバランス。

残念なことに、自分が今まで見たアマチュアミュージカルの作品ではこのバランスが取れてるものには今のところ出会えてない(そんなに大量に観劇したワケでもないが ^^;)。結果的に、バックバンドが思い切った演奏ができてなくてしょぼく聞こえてしまうか、バックバンドがでかすぎて声が聞こえないかになってしまってる(^^;)。

やや無理やりなアプローチとして、ドラムをシンセで出してたところもあったなw。ドラム音色を選択して鍵盤でドラム叩いてんのw。確かにこれでドラムの音量の問題は回避できてたけど、その時は何故かローエンド寄りのシンセのMIDI丸出しな音源を使ってて、しかも同じ演奏者が別のパートも同時に弾いてたからドラムのパターンが単純な上にテンポがヨレヨレで、聴いている方としてはつらかった(^^;)。

色々な意見や考え方がありそうなトピックだよね。それを理解した上で個人的な考えとして、自分は音楽を事前にカラオケとして作っておいて本番はそれを再生するという方法がアマチュアレベルでは最も華やかでクオリティーが高いアウトプットが実現できるのではないかと思っている。学生のころ、ミュージカルサークルのお手伝いで参加した作品もみんな打ち込みで伴奏作ってて、学生レベルにしては良いものができてたのではないかと思えた。
カラオケ作っちゃえば本番と同じオケで練習できるし、伴奏が絶対にヨレないから歌いやすいだろうしね。でも生演奏にこだわりたい劇団の熱い気持ちがその方法を嫌うという葛藤があるのも想像できるw。

もしアマチュアならではの制約を認めた上でカラオケ戦法を取っているミュージカル劇団さんがあったら、是非作品を見てみたいな。

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