2007年06月10日
ピッチベンド色々
ピッチベンド。ご存知、押したキーの音程を連続的に変えることができるコントロール機能。シンセが輝くところだよね(笑)。鍵盤楽器でありながらギターやサックスのように音を曲げることができるのは表現力の幅が広がるから重要だと思う。
そんなピッチベンドについて独り言ね。
Y軸とX軸
コントローラーの形はX軸で動かすものとY軸で動かすもので大まかに分かれるよね。左右に動かすか、上下に動かすか。国産シンセで言うとKORGとROLANDのハイエンドシンセはX軸で動かすジョイスティックで、ヤマハは昔からY軸のホイールって印象があるな。
左右の動きでピッチベンドするジョイスティック。写真はKORGのTrinity。
ちなみに上下運動でモジュレーションをコントロールできちゃう。
でこっちがホイール型のピッチベンダー。見た目のまんま、上下運動でピッチベンド。
ジョイスティックと違ってモジュレーション系は別ホイール。
シンセの場合はピッチベンドをいろいろ設定できるところがいいよね。機種にもよるけど大抵の場合、ベンドの最大値を±1~2オクターブで設定できるし、上下でベンド最大値を個別に設定できるものもあるね。だからやろうと思えば上方向に2度、下方向に4度曲がるベンドとか設定できちゃう♪工夫すれば色々とポテンシャルを持ってると思える。
ベンドレンジによる使い勝手の違い
ピッチベンドの範囲って一方向約2.5センチくらいで、その範囲内でどれくらいの音程差を設定するかによって、使ったときの感覚が大分変わってくるんだよね。
(計ってみたけど、MOTIFのホイールの場合も2.5センチだった!規格があるのか?)
例えば最大ベンドインターバルを1オクターブ(12半音)にした場合、単純計算で2.5センチの距離を12で割るわけだから、スティック(またはホイール)をわずか2ミリ動かすだけで半音のベンドがかかることになる。これはツライ。エフェクト的に使うなら別だけどこの設定でシンセリードのソロとかやったらアドレナリン120%の暴れ馬に乗ってる気分になれる。
チョン♪(タッチ)→ブイィ~~ン!! ちょwwwwwおまwwww みたいな…。
…逆に最大ベンドを全音(2半音)に設定すると、同じ半音ベンドを得るにはスティック(ホイール)を1.25センチ動かす必要がある。無論こっちの方が断然微調整が楽だから、音楽的にベンドを使うならこれくらいが現実的かもね。
なのでオレも大抵シンセリード系の音色の場合はオーソドックスに上下2半音に設定してます。たまにデレクの影響で上2半音、下5半音って設定もやってるけど(笑)。
もちろん上下3半音とか、6半音とか、変則的なベンド設定もできるけど、特殊な音楽をやってない限り、上下全音ずつというレンジが音楽的観点から見ても使いやすいんだよね。演奏してて半音曲げたいときは半倒しって感じでベンドのかけ加減もわかりやすいし。
…とは言え、演奏法は人それぞれだし、これと言ったルールもないので、今書いたことが全てのプレイヤーに当てはまるとは思わない。あくまでも個人的な感覚なのであしからず。
実際どう使うか
一番フツーな使い方はメロディーの味付け的な使い方かな?ポップやロックなギターソロとかでも大抵プレイヤーはどこかでチョーキングして音を曲げてるよね。泣きのソロで伸ばす音の出始めとか下からベンドかけてビブラートにつなげるとかもぉ王道クリーンヒットじゃんね(笑)。
ピアノじゃそういうニュアンスは出せないけどシンセならベンド使って同じことができちゃう。こういう場合は大抵上下2半音の範囲でベンドしてるから演奏はしやすい方だね。頑張れば簡単なポルタメントのシミュレーションもできるけど、ちょっと練習が必要かも。
例えばミ→レ→ドって弾くのをミ→ドと弾いて、レの部分はミからのベンドで処理するわけだが、ミのベンドをかけてて、ドのキーを押した瞬間にベンドを解除しないといけないからね(^^;)。タイミング外すとドを弾いたときにシ♭が出てしまって間抜け( ´_ゝ`)。
それ以外の特殊な使い方としては、サウンドエフェクト的な音色を作るときに音色を複数レイヤーかぶせて、それぞれ違うベンドレンジを設定しておいてベンド振り切った状態から戻していって、ベンドがゼロになったときにコードがハモる、みたいなことができる。
どこで使うんだ( ´_ゝ`)と思う人これ聴いてみて↓
これどっかで聞いたことある?(笑)
DOLBY THXのデモシーケンスで流れる音ってこんな感じだよね。若干違うけど。
ちなみにこのサンプルの内訳は:
1.シンセストリングス@PB -15
2.シンセストリングス@PB +18
3.ブラスアンサンブル@PB -20
4.ブラスアンサンブル@PB +24
5.シンセパッド@PB +5
ベンドレンジはマイナスの値の場合、逆方向に反応する仕組みね。つまり-15だったら、ベンドを下に振り切った場合15半音上の音が鳴る。
これらの音色を重ねてこれを弾き↓、ベンドをかけた状態から徐々にゼロの位置に持っていく。
ドルビーデモの完コピするつもりはないけど(^^;)原理はこんな感じだよね。ピッチのコントローラーが2.5センチの距離を移動する間、各レイヤーの音はそれぞれ設定されたインターバルを移動するから音程変化のスピードも方向もそれぞれ。で、最後にゼロ地点で音が一致してキレイにハモる、と。こういうときくらいしか使えないけど、これも立派なピッチベンドの使い道ヽ( ´ー`)ノ
あと、たまに見るのが、ピッチベンドを使ったビブラート!これは有名どころだとJordan Rudessが好んで使う技だよね。以前Kurzweilのシンセを使ってたころはピッチベンドのコントローラがホイール型だったけど、今はOASYS使ってるからジョイスティックなんだよね。それでもビブラートはピッチベンドでやってんのかな…やってんだろうなぁ(笑)。
コレ実はオレできない(^^;)。少なくともホイールとジョイスティック、両方試してみたけどむずい(;´д⊂)。LFOでのモジュレーションに頼らず、自分でピッチベンドコントロールを上下(左右)させて本当のビブラートを作るの。ホイール/ジョイスティックの高速かつ正確なコントロールが必要になるから、結構難しいよね。マトモに練習したことないけど、これはできたらカッコイイかも。
ちなみにピッチベンドでのビブラートと言えばこんなのもあるよね↓
今や有名なCLAVIAのNordシリーズで使われている木製ピッチスティック!
これについては次回(?)Nordシンセについて書くときにでも取り上げるつもりだけど、このピッチスティック、実はビブラートにものすごく向いてる。むしろそのために作られたのではないかと思えるほど。
これならオレでもピッチベンドビブラートできちゃう♪指乗っけて左右にクイクイすると自然なビブラートが(=´∇`=)。
左右の移動範囲狭いし、重いし、初めて店頭で見て触った時はフツーに引いたけど、実はよく考えられてるんだよね。一本取られた感じ。コレはちょっとファンになった(笑)。でも長くなるので詳しくはまた今度ね。
…と色々書いちゃったけど、シンセ演奏においてピッチベンドって実はけっこう基本的なツールだと思うから、セッションとかで即興ソロするときとかも、特に意識しなくても左手がコントローラーに触れてて自然に使えるようにしておきたいね。使う音色にもよるし、無理に使わなくてもいいけどさ(笑)。せっかくあるポテンシャルだから、使える場面では引き出してやりたいもんだ。
んなわけで今日はここまで~m(_ _)m