2007年08月26日

Nord Lead 2Xを買ってみた

…といっても買って既に半年くらい経ってるんだが(笑)。ってなわけで我が家のシンセの中では今のところ一番新しい機材。今まで(一部例外を除いて)オールインワンシンセとかワークステーションとか呼ばれる何でも対応できる機材ばかり使ってきた自分にとってNord Leadはちょっと異色だったりする。




パネルの見た目はノブだらけで一瞬ひるむけど、ほとんどのノブ/スイッチがコントロールするのはそれぞれ1機能しかなく、パネル上に見えるコントローラー数=全機能と言っていいほど。多機能なワークステーションとかだとボタンやノブは比較的少ない代わりにそれらがモードによって色んなパラメータをコントロールすることになるから逆にややこしいけど、Nord Leadはそんなんじゃなく、機能はコレっきりだ。後は工夫しな!的なアプローチ。


おまけにエフェクターすら入ってない割り切りっぷり。なんか漢のシンセ


各機能やら音色作りについてはネットでググれば出てくるので、ここでは敢えて演奏してみて感じたことなどを書こうと思う。




今まで使ってたワークステーション型シンセって、プログラミング的な面でものすごく自由度が高いんだよね。例えば鍵盤を複数エリアにスプリットして、ピアノとストリングスを重ねたエリア、パッドだけのエリアなどを指定して、それぞれのエリアのトランスポーズ設定やらコントローラー設定を個別に出来たりした。サンプラーも入ってりゃ鍵盤一つに伴奏パターンまで記録できちゃう。




こんなことができちゃう♪


演奏する楽曲にオーダーメイドの設定を完璧に組んでおけば頑張れば鍵盤2人分くらいの演奏は出来てしまうかも(笑)。だからワークステーションが2台もあれば大抵の楽曲は理論上何とかなっちまう(笑)。まぁ仕込みはその分大変だけどな(^^;)。


これだけプログラミングが出来てしまうシンセはキーボーディストにとっては強力な武器になるんだけど、逆にここまでやると楽器を演奏するというよりはプログラムを走らせるって感覚すら生まれてくる(^^;)。そりゃ演奏はしてるんだが、設定によっては押した鍵盤から出る音は音程が違ったり、鍵盤自体がサンプラーの起動スイッチだったりするから、楽器を演奏というよりは機材を操作してるという感じになってくるんだよね(^^;)(^^;)。


まぁそんなプログラミングした結果、アンサンブルで完璧に一致したときが楽しいんだが(笑)。


いつもとは言わんけど、割とガチガチに音色セットを組んで演奏するのが自分のスタイルだったりするんだが、Nord Leadってのはそれに対して一種の革命と言うか、シンセは楽器であるということを再確認させてくれるような機材なんだよね。


序盤でも書いたとおり、Nord Leadってのはプラスアルファ的な機能はキレイサッパリ省かれてるから、上手に操るにはプログラミングより演奏技術に重点が置かれると思う。これはつまりごまかしが利かないワケで、やや機材スペック依存症な自分にとっては厳しいシンセなんだな(^^;)(^^;)(^^;)。


でもそれが逆に楽しかったりする。


まずピッチスティックと呼ばれるNordシリーズ独特な木製ピッチベンダー、最初見たときはスゲェ使いにくそうと思ったんだが、これ実はよく考えられてるんだよね。



押した感じかなり硬いんだけど、このスティック、そもそも完全に倒すことはまずない。仕組みとしては、倒すにつれてベンドが強くかかるようになる。だからチョット倒しただけだとほとんど効かないけど、倒すに連れて強くベンドがかかることになる。イメージとしてはこんな感じかね↓



これって従来のピッチベンダーと違って、半分倒せば最大ベンドの半分のベンドがかかるって計算が通じない。全部倒せば(デフォでは)丁度1オクターブになるけど、結構力いるし、あまり現実的じゃない。だから実際は押した感覚で大体これくらいだなって感じで、計算というよりは感覚を身に付ける必要がある。


ちなみに最大ベンド値は半音単位で設定できるけど、意外とデフォの上下1オクターブの設定がシックリきたりする。フツーのピッチベンダーだったら絶対使わなそうな設定なのにね(笑)。


あと、デッドエリアがないってことも特殊かもね。少しでもスティックに触れればわずかながらベンドがかかっちゃう。ますます暴れ馬的な要素に見えるけど、この仕様だと、ピッチベンドでマニュアルビブラートがかけやすいんだよね。ちょうどバイオリンで弦を押さえる指を揺らしてビブラートを作るのと同じ感覚で自然な生ビブラートが作れる。少ししか倒さなければ音程が変わるってほどのベンドはかからないけど、シッカリ音程は揺れるからね。


こう見るとNordシリーズのピッチスティックってのは、ピッチベンドをより生楽器的な観点からアプローチしてるように思える。ギターのベンドとかも、弦を引っ張る力とか、あるいはアームをどれくらいの力で押すかで決まるように、数値じゃないよね。ピッチスティックはそれと同じ感覚で使うように設計されてる気がする。ベンドは数値じゃなくて感覚で使え!みたいな(笑)。


ベンド以外でも、ほとんどのパラメータはノブで調節するワケだけど、コレもまた耳で聞いて音を整えていく感じなんだよね。だから音作りの時も、リリースタイムは47に設定する、とかじゃなくて、鍵盤を放して若干余韻が残るくらいって考え方になる。うーんアナログ。一応処理はデジタルだから、ベンドもノブも裏ではちゃんと数値化された信号になるけど、ユーザーにはその数値は見えないから結局は自分の耳と感覚でパラメータ値を決めることになる。


エレキやベースについてる音色調整ノブも結局数値じゃなくて、大体の位置で決めるよね?目盛り10時くらいの位置、みたいな感じでさ。Nordシリーズもその辺が一緒な気がする。


 


トランスポーズ機能もないし(個人的にはコレちょっと痛いw)、レイヤーは4つまで使えるけどオールインワンシンセのようなプログラム要素はないし、PCM音源じゃないから生楽器シミュレーションなんてのはそもそも考えない方がいい(笑)。4つの基本波形をいかに料理するかで勝負!な機材。


役割が絞られてて、決してどんな音楽にも使えるとは言えないシンセだけど、アナログなアプローチから生まれる生楽器っぽさみたいなのが味かもね、Nord Lead。演奏面でより自分の味が出せそうだ。


使い始めてまだ間もないけど色々とポテンシャルを感じる今日この頃。


やー買って良かった♪

コメント

投稿者:ぽんちょ@2012年06月28日 11:21

はじめまして。
nord lead2xに関する情報を調べていたらここに辿り着きました。
自分も大学でバンドをやるにあたって一台シンセがほしいなと思っていました。
最初に買う一台は様々な楽曲に参加できる使い勝手のいい、いわゆるオールインワンシンセがお薦めだという書き込みをよく目にしましたが、自分の尊敬するアーティストが使用しているnordがどうしても欲しくて悩んでいました。
貴方の記事を読み、nordにしようと思いました。必要になったらその時に他のシンセも検討します。

ありがとうございました!




投稿者:りょ@管理人@2012年07月02日 09:36

ぽんちょさん、

はじめまして。
記事を読んでくださってありがとうございます。内容が参考になったようで筆者としては嬉しい限りでございます。
Nord Leadは確かにとってもクセのあるシンセである故、使い道が限定されてしまうので、自分も1台目のシンセとしてはあまりお勧めしないところなのですが(^^;)、その辺は人それぞれですし、演奏する音楽にもよりますしね。

買ったら色々実験して使い倒しましょう。




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