2011年11月26日

同時に鳴る音

凄く基本的な話題かもしれないけど、音色づくりでぶつかる最大同時発音数のお話。

音色づくりの時、音をレイヤーすることは多いと思う。いろんな音を重ねて発音させることで、より豊かな音色が出来たり、厚みが増したりして、レイヤーは音作りには欠かせない要素だよね。

サンプル

ピアノだけ

ピアノ+エレピ

ピアノ+エレピ+ストリングス


他にも、ライドシンバルをウッドベースの音色に重ねてウォーキングベースを弾くと、お手軽ジャズにw。さらに右手側にスプリットでピアノを割り当てれば簡易ジャズトリオww。

こんなのw:


とまぁ、ここまでやらなくてもピアノにストリングスを重ねたりするくらいならよくやるよね。

ここでいつも付きまとう問題が最大同時発音数。文字通り、シンセが同時に鳴らすことができる音数の上限やね。最大同時発音数を超えてしまうと音が途切れてしまう。64音まで出せるシンセだったら同時64音鳴ってる状態で65音目を出した時に、すでに鳴ってる音のうち1音が消えちゃう。

機材にもよるけど、デジタルシンセのワークステーションで大抵の場合、同時128音くらいが上限な気がする。ちなみにうちのMOTIF ESは128+64音、Trinity Plusが32+1音、Nord Lead 2Xは20音だったかな。

MOTIFの128+64の内訳は、MOTIF本体が128音、加えて拡張音源で取り付けているピアノ音源(PLG150-PF)が独立して同時64音。

Trinity Plusは本体のACCESS音源(32音)とMOSS音源(1音)が入っているので32+1という計算になる。


とまぁ、機材それぞれの上限があるわけだね。
ちなみに128音もあれば十分じゃねぇの?って思うかもしれない。確かに人間指10本しかないし、128は多く感じるかもしれない。

でも同時128音出せるって言っても、これってあくまでも波形(Oscillator)の数。MOTIF ESの場合、プログラムと呼ばれる音色1つにつき、最大4つの波形を混ぜることができる。豊かな音になる反面、鍵盤一つ押したら4波形鳴ってることになる。1和音弾いただけで3x4で12音鳴っちゃうw。

20111126-performancestructure.jpg

さらに、プログラムはパフォーマンスと呼ばれる複合音色に含めることができて、1パフォーマンスに4プログラムまで組み込める(上図)。それぞれ4波形を使ってるプログラムを4つ組み込んだら、パフォーマンス音色で鍵盤1つ押したら16音鳴るような音色が作れてしまう。仮ににそんな音色作ったら鍵盤8つ同時に押したら128音アッサリ達成w。

とは言え、そこまで音重ねる必要がある場面ってまずないから、あまり気にすることはないのだけど、もう一つの問題としてサステインがあるんだよね。

サステインペダルを踏むと、その時点で鳴ってる音は持続される。特にピアノ音色などではサステインペダルは多用するのでとっても重要。

でもシンセにとってみれば音を伸ばしてる=音が鳴ってることになるので、サステインペダル踏みっぱなしでたくさん音を出すと割とあっという間に128音まで達してしまう。

大抵のシンセは同時発音数の限界に達すると、最初に鳴った方の音から順に音を消していく傾向があると思う(細かい条件によって前後するだろうけど)。音量が時間とともに減衰する音色の場合、前の音が消えても気にならないこともあるけど、ピアノにストリングスを重ねてたりすると、ストリングスがブツ切れになったりして目立つ。

サンプル:
最初はTrinityのピアノ+ストリングスをレイヤーした音色で演奏。次に、最初の一音だけをTrinity、2音以降はMOTIFで演奏。無論後者のほうが音が切れない。両方とも、サステインペダル踏みっぱなしで演奏してます。


バンドアンサンブルの中に埋もれててもストリングスのブツ切れは結構目立つんだよね。これやらかすとちょっと痛い。

やはり同時発音数が心配な時はレイヤーを複数の音源に分けるのが一番安全。複数の音源がない場合は音の厚みを犠牲にしてレイヤーや発音する波形の数を減らすしかないんだよね。音源1台しかない時はその辺に限界を感じるかも?


ちなみにこんな現象もあります:

これ、MOTIFの内蔵音源のピアノなんだけど、ピアノしか鳴ってないのに何故途切れるのか

実はこれ、レイヤー3つも使ってて、レイヤー2と3はボリュームをゼロに絞ってるだけなんですねw。

我が家のMOTIF ESとTrinity Plusで検証した限りでは、レイヤーがOFFになってない限り、仮にボリュームをゼロにしててもシンセはそのレイヤーで使う分の音は消費してるっぽい。なので要らないレイヤーは必ずOFFにした方が無駄がないってことですな。割と基本的なところではあるけど、たまに落ちる穴w。

ちなみに上の例で使った音色はTOTOのRosannaを演奏したときに使ったもので、最初はレイヤー1のピアノだけ発音するようになっていて、レイヤー2と3に割り当ててるブラス音色をフェーダーで自由に追加できる音色なんですね。

20111126-faders.jpg


…なので音色をロードした時点ではレイヤー2と3のボリュームはゼロ。でも演奏するとシンセ自体は常にブラス音色をボリュームゼロの値で発音してるわけだね。

とまぁ、色々うんちくを並べちゃいましたがw、バンドの中での演奏だと他のパートの音もあるので、シンセ単体でそこまで分厚い音が求められることはさほどないのが自分の感じてる現状だったりします。Trinityなんて32音しか同時に出せないのに余裕で現役で使ってるしね。

ただ、シンセが目立ちまくりの場面で複雑な音色を組む場合は常に最大同時発音数を頭の隅っこに入れるようにしてます。実際演奏してみて全部の音がちゃんと出てるか確認するのは重要だね。

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