2008年12月14日

オーケストラ音源で曲を作ってみた

ライブなどでは使わないけれど、打ち込みの音楽を作るときに活躍するソフトウェア音源。ハードウェア音源たくさん持ってるから別にいらないや…と思ってたんだが、実際サンプルを聴いてみたら音質の差に驚愕w。リアルな音を追及する場合、ハードウェアシンセじゃ到底出せそうにない音がするのな、ソフトシンセ。

てなわけで勉強も兼ねてちょい奮発して買ってみたSteinberg HALion Symphonic Orchestra。色んなレビューを見てみたところ、手が届く価格でなおかつ内容が良さげだったのでこれにした。他にもMiroslavだとかEWQLSO、Viennaなどがあるけど、高かったりクセがあったりなどの問題(?)もあったので、HALionなら自分が使ってるCubaseと同じメーカーだし相性的にもいいだろうと思えて。

HALion Symphonic Orchestra

DVD4枚組。サンプルの容量が全部で27GBらしいから、そらいい音するわなw。

 

収録されてる楽器はオケで一般的に登場するようなものは一通りカバーしてる。弦楽器各種、木管、金管、パーカッション(ティンパニ、木琴など)、ソロ/アンサンブルのサンプルに分けてあるものもあり、なかなか充実してる。唯一ハープが収録されてないのが残念かな。あとサックス関係がない(^^;)。ガーシュウヴィンやバーンスタインの曲をやる時は困るかもw。

この音源の特徴として、実際に楽器を演奏した音をサンプリングしてるから、大抵のハードシンセと違って音域に限界があるのが新鮮だったね。だから例えばバイオリンなどは一番低いG弦以下の音は出ないし、高音もちゃんと上限がある。打ち込むときに間違ってその楽器では演奏不可能な音域の音を入れることがなくなるわけだ(入れても音が鳴らない)。オケ曲を入れるときに「あれ、この楽器の上限どこだっけ?」みたいなことになったときにいちいちWiki調べしなくて済むからある意味便利w。

各音色にはいくつかのアーティキュレーションが用意されてて、弦楽器ならレガート、スピカート、ピチカート、トレモロ、トリルなどのものがアーティキュレーションごとに音色プログラムとして存在する。コンビになってる音色を選べば特定の(音域外の)鍵盤を押しながら弾くとトレモロにしたりピチカートにしたりすることができるのも便利。

こだわろうと思えばバイオリンだけで、ソロ、アンサンブル(16人/32人切り替え可)、各種アーティキュレーションなどを各チャンネルに振り分けて打ち込むことができてしまう(^^;)。バイオリンだけで8chとか使ったらどんだけ時間かかるんだって話だがw。

 

で、曲を作ってみた。

 

ここ何年かはもっぱらライブ演奏が中心で、以前やってたような打ち込みDTMはちょっとご無沙汰だったのだが、少し時間ができたので久し振りに本気出して一曲作ってみることに。

とは言え、フルオケのアレンジも作曲も本格的に学んだわけではないので、イメージをできるだけ具体的に描いた上でそれを音楽にしていくことにしてみた。そうでもしないと曲がまとまらないというか、作りにくいからね(^^;)。

テーマはディズニー系アニメーション映画のオープニングw。シンデレラのストーリーを想定して(ディズニーのあの映画ではなく)、ストーリーの舞台となる城と町を描くシーンを仮に脳内で作ってみた。

1.王子さまが住む城とその城下町のパノラマビューを空中から撮影

2.カメラはそのまま城下町へ降下→人で賑わう町の日常を映す

3.町を抜けてはずれにあるシンデレラの住む家へ移動

4.シンデレラ登場(シンデレラのテーマ)、日常の雑用をこなす様子を映す

…みたいな感じで流れを決めて、盛り上げポイント、シーン別のテーマとコード進行などをピアノオンリーのトラックでスケッチしてみた。

こんなの(MP3)

 

で、Cubase上でこれに肉付けをしていき、トラック別にパートを打ち込んでいく。ちなみにHALion Symphonic Orchestraに収録されてない音色はMOTIF ESで補完(ピアノ、ハープなど)。結果的に今回は22トラック使った。意外と少ないなって印象だけど、音源が良いとあまり音色を被せたりしないで済むからこんなもんなのかね。

しかしHSOの弦楽器セクションの生々しさにはちょっと感動w。管楽器も同じく素晴らしい。オーケストレーション考えながら思わずニヤニヤしちまうなw。MOTIFのストリングス音色も結構生っぽいなぁと思ってたけど、比じゃないね。用途が違うから当然だけどさ。

とは言え、さすがにVienna Symphonic Libraryなどの上級レベルのソフト音源には敵わないんだろうけど、価格帯が違うし、6万円台でこれだけのクオリティーが手に入りゃ文句は言わん。

最後にボリュームバランスやらエフェクトやらをかけて完成したのがこれ↓。

 

Cinderella Overture (MP3)

 

アイデアが浮かんでから1か月くらいかな。忙しくて作業できなかった時もあるから実質の作業日数は2週間くらいだろうか。初のゼロからのフルオケ作曲としてはまぁまぁかなと個人的には満足気味w。

work environment
ツインモニター環境万歳w

 

…しかしこの後Enchantedなどのスコアを聴いて雲泥の差にへこむヽ( ´ー`)ノ。

 

色んな意味で勉強になるからめげずに次を作る気ではいるけどねw。

コメント

投稿者:Keyぼうず@2008年12月15日 00:32

すごい!思わず聴き入っちゃいました。
木琴が絡んでくるところがツボで。

きっと何かなさっているに違いないとは思っていましたが…ソフト音源導入ですか。
音域の設定など細部までこだわっていて楽しそうですね~。

オーケストラのコンサートに行きたくなりました。




投稿者:りょ@管理人@2008年12月16日 07:23

うおぉう、反応はやっ!w

毎度チェックどうもです~。聴き入ってもらえて光栄です。
やーオケ音源は深いっすよw。これでもまだ使いやすい音源らしいので
本格的なソフトシンセに手を出したら使いこなせるようになるまで
何年かかかりそうです(^^;)。

さぁKeyぼうずさんも導入を!なんてw




投稿者:良太@2009年01月04日 16:51

いやーこれはスゴイですなあ!
打ち込みクオリティもここまで来たかというカンジです。個人的には、クラリネットの音の表現力がツボでした。擦弦楽器は難しいけど、おっしゃるとおり市井のハードシンセ(こと、俺が持ってるTriton Extreme)とは雲泥の差ですな。
そんでもって、曲作りのクオリティも高いね~。FFに使われている曲と言われても誰も疑わないでしょうw




投稿者:りょ@管理人@2009年01月07日 10:26

どうもです~。お褒めの言葉に感謝感謝m(_ _)m

素人が打ち込んでコレくらいのものができてしまうワケで、高級ソフト音源でその道のプロが打ち込んだら真面目に生オケと区別が付かないくらいになるんじゃないかと思いますよね。

クラリネットはメインメロディーを取ってるので一音ずつベロシティーやらアーティキュレーションに気をつけました。良くぞ気づいてくれたw。
ストリング関係はレガートでボロが出やすいなと思います。どうしてもノートオンで新しくサンプルが頭からトリガーされてしまうので、レガートで音程移行したときの滑らかさが出なかったりで悩みますね(^^;)。まぁこれでもハードシンセよりは全然イイんですがw。

もっと研究すればこの音源ももう少し生かせると思うので引き続き勉強してこうとおもいます。




投稿者:NoName@2009年01月18日 21:31

遅ればせながら感想です!
まず、こんなオケ編成の曲が作れてしまうこと自体素晴らしい
です!バンドメンバーながら改めて尊敬です。
初めて聴いたとき、曲の出だしの部分ですぐ「ディズニーっぽい」
と感じたのですが、りょさんの解説を読むとそれは正しい
認識だったようですね。(笑)
まさに解説に書いてあるような場面にピッタリはまる雰囲気
だと思いました!壮大かつカワイらしい素敵な曲ですね。
私には到底真似できません。(苦笑)

それにしても序盤が過ぎて展開が変わった以降はとくに
打ち込みと言われなきゃ本物のオケだと疑わない音に仕上がって
ますね~~。というか、打ち込みだと言われてもにわかには
信じがたい超リアルな仕上がり。驚きです。
私も良太さん同様、クラリネットの音色がとくにツボでしたー。




投稿者:Tomoko@2009年01月18日 21:32

あれ?ちゃんと名前入れたのにNoNameになってる。。。(^ ^;
Tomokoの書き込みでした~。




投稿者:りょ@管理人@2009年01月21日 13:56

お~なんだかたくさん褒められてるーw。ありがとう!
ディズニーっぽいというのが解説なしで伝わったのが嬉しいね。
でも作っててディズニーアニメーションの映画を意識するあまり、
気づいたら既存のスコアそっくりになってたりして「あ、美女と野獣に
なってる、あ、リトルマーメイドになってる」などの連発で実はちょっと
苦戦してました(^^;)。

でもやはり音源が良いと作りやすさもアップするね。特に自分の場合、
楽譜的なアプローチではなく、アンサンブルの響きで判断して作って
いく方だから、最初から仕上げレベルに近い音を扱えるのはすごく
助かったよ。ショボい音源を使うと迫力の弱さを補うために色々データに
工夫を加えないといけないのに対して、HSOくらいの音源だとデフォで
厚みがあるからね♪

ただ、やはり打ち込みってクオリティーを追求すると思うより時間が
かかるもので、編集の効率をもう少し上げたいところだねぇ(^^;)。
引き続き作り続ければ少しは速くなるだろうけどね。多分次も作ると
思うのでよかったらまた聴いてやってくださいな~。




投稿者:通りすがり@2011年08月06日 19:36

HALION SYMPHONIC ORCHESTRA の評価検索してたら、肉付け前と肉付け後の差に吹いたwwwwwwwww

これは本当HALION SYMPHONIC ORCHESTRA買ういいレビューw
ステインバーグはHPにここのURL載せるべきw
買う決意出来ましたww
ありがとうございました!




投稿者:りょ@管理人@2011年08月09日 17:26

>通りすがりさん
放置プレイをお許しください。
わざわざコメント残していただいてありがとうございます!
なんだか全力で支持してもらっちゃってフツーに嬉しいですw。
HALIONは(他のオケ音源も同じ傾向ですが)、マシンスペックが高ければ高いほどスムーズに動いてくれます。メモリとCPUのスペックはケチらない方が作業捗りますw。

音源ゲットしたら良い作品を作ってくださいな~!




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